日本ロボット学会会長 川村貞夫

http://www.rsj.or.jp/about/president.html
会長就任のご挨拶

日本ロボット学会会長就任挨拶

一般社団法人日本ロボット学会
会長 川村貞夫 (立命館大学)
(2011・2012年度)

 この度,平成23年度,24年度会長に選出頂きましたので,一言ご挨拶申し上げます.

 日本ロボット学会は,ロボット学とその応用に関する研究の進展と知識の普及をはかり,もって学術・技術ならびに産業の振興発展に寄与することを目的として1983年に設立され,2012年(平成24年)で30周年を向かえます.また,2011年に一般社団法人として,組織的には再出発しました.会員の皆様が,今までに作り上げられた高いレベルの日本のロボット研究とロボット教育を,次のステップに飛躍する段階に来ていると思います.

 3月11日に発生しました東北関東大震災は,言葉に尽くせぬ大きな被害を日本にもたらしました.地震,津波,原子力発電所事故など本当に辛い状況に我々は直面しました.日本ロボット学会会員の皆様およびその関係者にも,被害にあわれた方がたくさんいらっしゃると思います.心よりお見舞い申し上げます.また,現在もたくさんの方が,復興の作業を直接担当されていると思います.関係者のご努力に敬意を表し,深く感謝申し上げます.日本ロボット学会として,今回の震災とその後の復興に関して,何ができるか?何をすべきか?等について議論すると共に必要な行動に移していきたいと考えております.

 ロボティクスの研究には,科学と技術の両面があると思われます.独創的なロボットの科学研究と新規性のある優れた技術が,今後の日本のロボット研究を推進します.科学として,ロボットの分析科学およびシステム統合科学のみならず人間を科学する脳科学,身体運動科学等へも,ロボット学は今後大きく貢献すると期待されます.技術では,ロボットの要素技術開発に加えて,ロボットシステムを統合する技術も極めて重要となります.このような確固たる科学と技術の基盤の上に,ロボットは製造業,医療,福祉,建設,生活支援,保守管理,安全保障,海洋・宇宙等フロンティア開発,人間科学研究利用,アミューズメント等の様々な分野に利用されると予想されます.一方,教育としてもロボットは常に若者の興味を強く引きつけます.日本のロボットに憧れをもって,日本への留学を決意する外国人学生も多くいます.これは日本ロボット学会会員を中心とする日本のロボット研究者,教育者の努力の成果を言えましょう.また,他の工学分野にとってもロボットは,システム設計を学習する良い材料であります.今後もロボットの教育として,日本の小中高の学校,高等工業専門学校,大学,大学院で,先端的教育プログラムを開発し,実践することにより,日本のロボット教育をより一層高度化することが期待されます.日本ロボット学会の活動として,従来にも増して教育イベント企画,種々の情報提供等によって,ロボットの教育に貢献したいと考えます.

 日本は,長引く不況に加えて,この度の東北関東大震災を受け,国自体に大きな試練を受ける状況になっております.ロボットは新産業の開拓として大きな期待を寄せられております.今までに蓄積された研究成果の基盤の上に,いよいよロボットが大きく利用される段階に来ていると思います.ただし,ロボットを実用化し,ロボット産業を大きく振興するためには,より基礎に立ちかえった科学と技術もさらに必要でしょう.また,ロボット利用のための社会制度改革や利用者の意識改革も必要でしょう.ロボットの実用化に関する問題も日本ロボット学会の中心課題のひとつとの認識に立ち,産業界との抜本的連携を図っていきたいと考えております.

 また,今後は国際発信力の強化が重要な時期に来ております.幸いにして,本学会にはAdvanced Roboticsという英文誌があり,世界への情報発信が可能となっております.本誌への投稿論文数が近年飛躍的に増加し,インパクトファクタも上昇しつつあります.さらに,アジアロボットサミットを開催しており,日・中・韓の研究者を中心に,2008年9月に第一回会議を開催して以来,本サミットを継続しております.このような国際発信力強化に繋がる実績に基づいて,日本のロボットの研究と教育が世界的に存在感を高めることができる段階になっております.

 学会の目的は,会員サービスを通じてロボットの科学と技術に貢献するものです.したがって,今までに実施している会員サービスが学会の基本的役割です.しかし,日本の厳しい状況を打開するために,会員の皆様がロボットの研究,教育,実用化に関して,新しい学会活動方法の提案とその実行より,一層のご尽力されることをお願い申し上げます.そのために必要な環境整備を日本ロボット学会がお役に立つように努力していきたいと考えます.

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